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The light stuff  あかるいひとたち

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冒険中の話

爺の悲劇 ―或いはよくある話―

☆2周年リクエスト作品その1 T.F様 ありがとうございました!!

魔法使いブライがひょっこり神官クリフトの部屋を尋ねたのは、宿に到着して小一時間が経過した頃だった。だがクリフトは不在で、代わりにブライを出迎えたのは、彼と常に同室の勇者ソアラと何故か占い師ミネアであった。

「お主ら、クリフトが何処へ行ったか知らぬか?」
「ゴメン。俺それどこじゃなかったし!!」
っていうか助けて!と喚くソアラの首根っこを、しっかり捕まえたままミネアも軽く首を振る。ちらりと見えた部屋に備え付けの文机には、所狭しと魔導書の教本が散らばっていた。どうやら魔法学の特訓中だったらしい。剣の腕は超一流のソアラだが、魔術に関しては三流以下というのが仲間達の共通した認識であるので、至極あたりまえに、これはやって貰わなくては困ることだった。

「私がこちらに来た時に、彼はもう居ませんでしたわ。お役にたてなくて申し訳ありません」
すまなそうに頭を下げるミネア。ソアラはこれに乗じて、何とか苦手な勉強を終わらせようと親切めかして提案をする。
「俺が探してきてやんよ!で、どしたのじーちゃん?あいつを呼ぶなんて珍しいじゃん」
普段であれば、探しに行けと頼んでもヤダとか面倒くさい!というのがソアラという少年である。勿論そんな彼の魂胆などお見通しのブライは、即座に申し出を却下して、話を切り上げた。

「それには及ばん。なに、ちと腰が痛んだのでな、湿布をしようかと思っただけじゃ。邪魔したのぉ」

「ああっ!そんな酷いっ!!ミネアっ、お前も湿布作れるじゃんか。じーちゃんに是非やってあげてくれよぉ!!」
「そうねぇ。老師様、私の湿布でもよろしいですか?」
叫ぶソアラの思惑など、百も承知のくせに白々しくもそう言うミネア。
「いいや。ミネアには悪いが、あ奴のこしらえたものが、儂のお気に入りなんでな」
それに対し、こちらもわざとらしく首を振るブライ。
「あら残念。でも、そういうことでしたら仕方ありませんわよね」
ダメ押しとばかりに、にっこり微笑むミネアに、ブライもにやりと笑う。
「くぅぅーっ、お前ら!さてはグルだなっ!!」
と、思わず唸るソアラ。ある意味正解。

「ではな、ソアラ。きちんと学習に励めよ」
「うふふふふ、老師様おまかせ下さいな」
「い、いゃだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
尚も足掻くソアラを尻目にパタン、と扉は閉じられた。


「ちょ、もしかして俺って出番こんだけ?」
「(出番が)あるだけありがたいと思った方が良くってよ?」
「マジかよ・・・・・・・・・・・」

◆◆◆◆

「ふむ、居ないとなれば仕方がないかの」
湿布はまぁ風呂の後でも構わんし、と思い直し今度は女子に割り当てられた部屋へ、と足を向けるブライ。ソアラを見てアリーナの学習もまた、このところ滞っていることを思い出したのだ。幸い夕食までの時間はたっぷりとある、この時間を有効活用して頂くとしようかなどど思いつつ、急いで頭の中でタイムテーブルを組み立てる。

「ん?」
目指す部屋は、何故か扉が数センチ開いていた。近づくにつれてそこから聞き覚えのある声が漏れてくる。
「姫様・・・・・・なりません。どうかおやめください」
「嫌よ!絶対に嫌!!どうしてそうやっていつもわたしを拒むの?!」
「姫様が私の主であり、大事なお人だからです」
「もぉ!またそれなの!!」
姿の見えなかったブライの捜し人は、ここにいたようだ。何やら問答を繰り広げているのは、間違いなくクリフトとアリーナ。

(やれやれ、またかの)
この二人はお互いに想い合っているくせに、まるきりそれを理解せず奇妙なすれ違いばかりを繰り広げており、一部ではそれを最早『コント』として認定している。姫の教育係という立場上表立って応援はしないものの、ブライもまた二人の良き理解者である。この旅の間にどうにかまとまらないものかと、密かに期待もしているのだがいつも事は上手く運んだ例がない。今回は自分が仲裁にはいる番か、と思いつつ近づく足がピタリと止まった。

「そう。そうなの・・・・。なら『命令』するわ。わたしに全てを委ねなさい、クリフト」
「姫様?!」
きしり、と何かが動く音がした。なにやらゴソゴソと物音もする。

「う、あぁっ・・・・・」
「あ、ごめんね?やったことないから、加減がわからないの」
「い、いえ。まさか姫様にこのようなことをしていただけるとは思いもしませんで、・・・くっ!!」
「ダメよ、喋っちゃ。じっとしてて、わたしがちゃんとしてあげるから、ね?」

(な、なんじゃこれは?!)
会話内容に、ショックを受けるブライ。あまり考えたくはないが、実は二人の仲がそういうところにまで発展していたということなのだろうか?それとも、まだまだ子供だと思っていた姫ではあるが、それなりの迫り方を覚えたということなのか?いやしかし、そうだとしてもだ、これでは順序が違う!!(←何の?)

(陛下にお詫びの仕様がないではないか!!!!!)
そう結論付けると懐から毒針を取り出し、ブライは一気に部屋の中に踏み込んだ。

「ええいそこまでじゃっ!!クリフト、お主は姫様になんてこと・・・・・を?・・・・・およ?」」
クリフトとアリーナはベッドに腰掛けてはいたが、きちんと服をきていたし特に乱れた所はない。

「どうしたの爺?そんな顔して?」
「申し訳ありませんブライ様。自分で治療すると言ったのですが、ついつい」
きょとんとした顔でアリーナは、タオルを隣のクリフトの頬に充てていた。彼の頬はかなり腫れていて、唇にも血が滲んでいる有り様。分をわきまえず申し訳ありませんでした、とブライに謝罪するクリフトであったが喋るのも辛そうだ。

アリーナの話によると、彼女は覚えたての武術の技を手振りを交え説明していたのだが、目測を誤り、思い切りクリフトの顔を叩いてしまったらしい。その後彼は自分で治癒呪文を唱えようとしたのだが、アリーナが自分の責任だから、とそれを止めて手当を申し出たのだった。つまりブライが聞いたのは、その会話のほんの一部分であった。全く以て紛らわしい(←だから何が?)

「わたしがいけないの。だからクリフトを責めないで!・・・って爺?!聞いてるの?ねえ?!」
「ブ、ブライ様っ?!」
振り上げた毒針を下ろすこともなくそのまま石化したブライに、二人の呼び声がいつまでも部屋に響いていたという。

やれめでたくなし、めでたくなし。


おしまい
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