あ・・・相手が悪い
「なんであんな面倒くさいボーヤ好きになるかなぁ、あのコ」
「まぁまぁ、姉さん。話を聞いていると昔から好きだったみたいだし、恋の病に薬なし、とかあばたもえくぼっていうじゃないの」
「そりゃわかるんだけども。あんなに健気に、一生懸命アプローチしてるのに気が付かないの見てると、なんかもう思いっきり蹴り倒したくなってくるのよねー」
「あら、それって自分の事なんじゃなくって?」(くすくす)
「はぁっ?!なによそれ」(内心焦り)
妹には何でもお見通し(くわばらくわばら)
り・・・理屈は間違っていないけど
「うん!やっぱりこれしかないわね!!」
「ちょっと待ってその本はっ!!アリーナ貴女、まさか!何をする気なの?!」
「勿論、お料理よ!!どんなに頑なな男性でもこれならイチコロって書いてあったわ。だったらすぐに実践あるのみでしょう!!」
「えーっとね、胃袋をつかむっていうのは確かにセオリーなんだけどさ、ゴメン無理だと思うわアタシ」
「ええ。それは止めて別のものを考えましょうアリーナ。私達も協力するから」
「どうして?どうしてダメなの?」
「ウチには脅威の食欲魔神がいるでしょーが。お目当ての胃袋掴む前にそっちのおこちゃまが喰い付くこと請け合いよ?」
「はぅぅぅ・・・・・・」(ソアラの莫迦!あくまでわたしの邪魔をする気ね!あとで見てなさいー)
本当の理由が、クリフトの方が料理が上手に出来るからとは口が裂けても言えない姉妹。
が・・・頑張ってるのにね
「だぁぁぁっ、いい加減気がつけぃ!!あの姫さんはなぁ、お前が大好きなんだってば」
「ソアラっ、いい加減にして下さい。毎回毎回よくもまぁそんな出鱈目を!!」
「だったら何で俺とお前が一緒にいると、アリーナの機嫌がとたんに悪くなるんだよっ?」
「それは私が姫様の従者であるにも関わらず、その立場を優先させないことに対してご立腹なさっているからでしょう。そこは申し訳なく思っておりますが、以前とは状況が違います。姫様にはもうマーニャさん達がおられます、やはり女性は女性同士の方が何かと都合が良いでしょう?」
「だからどうしてお前はそうひん曲がって考えるんだよっ!!どっからみてもありゃただの嫉妬だろ」
「そうではなくてそれは、単に今までの私の働きを過分に評価して頂いたという事ですよ。嬉しいことではありますがね」
「何でだっ!!どうして噛みあわねぇんだ!!だがしかし、俺はやるしかないんだ。俺の平穏な生活の為にはっ!!」
「・・・・・・また二人で随分と仲良く盛り上がっているじゃないの!何よっ!!」
「またか!またこれなのかぁぁぁぁぁ!!!!」
屈折してる神官、嫉妬全開で割り込む姫君、被害を受けまくる勇者はうちのデフォルトです。
と・・・問い
「じゃぁ好き?」
「う・・・・・・・あ、あの」
「もう!ちゃんと答えて!!好きなの嫌いなの?!どっち」
「ええと、どちらかと言われれば好き・・・・・・です」
「どちらかとか、そういうのは禁止!!」
「好きですっ」
「わーい!本当ねっ?!」
「えーとさ、何かしらアレ?」
「あん?食いもんの好き嫌い答えてるだけだろ」
ったくヤッテランネーよ、と皆で思ってます。
う・・・唸られても
「うーん」
「ちょっとどうしたのよライアン?」
「うーむ」
「爺?」
「ブライ様、どこかお加減でも?」
「ううーん」
「どしたん?おっちゃん。拾い食いでもやったんか?」
「嫌ね。ソアラじゃあるまいし、そんなことはないはずよ」
「「「出番がなかった」」」(三人揃って合唱)
ごめんなさい、無理でしたーっ!
おしまい
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