The light stuff  あかるいひとたち

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「特殊設定の話」
学パロ ちょっと長めの話 

学校へGOGO!~お嬢様の家庭の事情 その4~

落ちかけた陽光が、眩しいくらいに校舎や廊下を染めている。その中を影法師を引き連れてクリフトは走る。放課後となってかなり時間が経過したのと、生徒会室から2年5組の教室までそう遠くはないのが幸いして、クリフトのこの慌てた姿を見た者は誰もいなかった。そうして息を弾ませ、教室の扉を開けたクリフトの目に飛び込んできたのは、翠緑の髪の少年ではなく、夕日と同じオレンジブラウンの見事な巻き毛の少女の姿だった。

「ア、アリーナお嬢さんっ?!」
「遅いっ!!」
何故彼女がここに?と驚くクリフトをよそに、アリーナは両腕を前で組み、怒ったような顔をして口を尖らせている。
「いや、あの、ええと・・・。すみません」
これに殆ど条件反射で謝罪するクリフト。普段の力関係が一目瞭然である。

「もぉぉ、ソアラに任せるんじゃなかったわ」
「お嬢さんはソアラに(ここに)連れて来られたんですか?」
「そうよ?」

何を言っているの?というような顔をするアリーナを見て、どうやら自分はソアラにまんまと一杯喰わされたらしいと気がついたクリフトは、内心で舌打ちをする。
(あの莫迦、やってくれましたね)
と腸が煮えくり返る思いのクリフトだが、表面はあくまでも穏やかに優しくアリーナに問いかけた。

「ですが、どうしてここに?シャルさんと約束をしていらっしゃったのでは?」
「うん。シャルとは保健室で一緒にお茶してきたわ。ソアラも一緒」
「ああ、そういうことなんですね」
これは例の件のせいでギクシャクしだした自分と彼女の関係を何とかしようと、ソアラ達が動いた結果に違いなかった。だが正直クリフトにとっては、ありがた迷惑な話でしかない。

(こういういざこざには首を突っ込まないんじゃなかったんですか?!余計な事をっ・・・寮に戻ったら絞めてやる!)
そう心に決めたクリフトの背中に宿った強烈な負のオーラに、カタ、と後ろの机が揺れたのだが、アリーナはそれには気づかず組んでいた腕を解いて、こう続けた。

「やっぱり私が、生徒会室に行くべきだったな」
「え?!」
「ソアラってば『いいから俺に任せとけぃ!』なんて言うから。だからすぐ連れてきてくれるって期待してたのに、こーんなに待たされちゃったんだもの。あ、でも会議は大丈夫?」
いささか申し訳なさそうに尋ねるアリーナに瞬時に負のオーラを引っ込め、今度はどっと冷や汗を吹き出すクリフト。

「あ、はい。(会議は)もう終わってますからそれは平気です」
「そう!よかった」

(前言撤回です。感謝しますよ、ソアラ)
聡いクリフトは、この発言で一連の流れが大体把握できた。

保健室にてどんな会話がなされたかはわからないが、アリーナはこの件に今すぐに決着をつけようと思い至ったのだろう。だがアリーナにそのまま生徒会室に乗り込まれていたら最後、会長以下全員にこの件が知れることになり、何よりあの魔王に絶好のネタを提供してしまうことになっていた。そんなとんでも無い事態になるよりは、まだソアラに一杯食わされたほうが、数十倍もいや数百倍もまし、というものだ。

思い立ったら即実行、がアリーナという少女。そんなとき、どうにか止める術を持つのは自分を除けばブライ校長のみである。ソアラやシャルは勿論、いかに有能なミネアといえど、一度こうと決めて走りだした彼女を止めることが出来ないことは、たやすく想像がつく。

だからソアラ達はクリフトにとって最悪の事態になることだけは何としても避けようと、このような策に打って出たのだろう。おそらくあのメール文はミネアの指示で、シャルが文面を打ち込んだに違いない。その結果、無事に魔王様の餌食になることは回避されたわけであるが、クリフトの試練は続く。

「あのね。わたし、クリフトにどうしても今聞いて貰いたいことがあるの」
と、改めてクリフトに向き直るアリーナ。
「いえ、今日はもう遅いですから暗くなる前に帰りましょう。話はまた今度聞きますよ」

恋人が見合いを強いられるかもしれないという不安を口にしているのに、止めもせず、何も出来ずにいる本当に情けない男だという自覚が十二分にあるクリフトは、アリーナの話が自分にとってはあまり良くない話であると思い込んだ。なので目線を合わさず、急いで踵をかえそうと試みるクリフトであったが、勿論それを許すアリーナではない。

「ダメよ!ちゃんとこっちを向いて」
ぐい、と襟を掴まれ体ごとアリーナの方に無理矢理方向転換させられた。わかっていることとはいえ、悲しいかな膂力の差は歴然であった。

『嫌だ!聞きたくない!』
そう叫べればどんなに楽だろう。詰られるのか、はたまたもう自分とはやっていけないと別れを告げられるのか、だがそうなったとしてもそれは誰のせいでもなく、自分が招いた結果なのだ。この期に及んで、それを聞きたくないとこれ以上突っぱねることは、さすがに男のプライドが許さない。

ふぅ、と深く息を吸いこみながら、ゆっくりとクリフトは視線をアリーナに合わせた。先程から掴まれている襟のあたりから、何やらビキビキと異音が聞こえてくる。まるで今の自分の心のようだと、クリフトは思う。重い鉛を飲み込んだような気持ちに沈みつつ、それでも声だけはつとめて平静に、クリフトは言った。今自分はどんな表情をしているのだろうかと、ぼんやり思いながら。

「わかりました。きちんと聞きますから襟は離して下さいますか?このままだと千切れます・・・たぶん」
「うそ?!やだっ!!ご、ごめんなさい」
この指摘に途端に顔を赤らめて襟を離し恥じらうアリーナ。どうも緊張したり、照れがまじると怒ったようになり、力がいつもより余分に入ってしまう。

(これから大事な話をしようってときに、もぉぉぉわたしったら何やってるのよぉ。しっかりしなさい!!)
混乱しそうになる、揺れる心を叱咤して、アリーナはもう一度クリフトを見上げ、口を開いた。

「クリフト、わたし・・・・・・」

続きます




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