The light stuff  あかるいひとたち

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その他の話

お願い!サンタクロース


夕暮れの町は、間近に迫ったクリスマスのカラーに装飾されていた。街路樹には、イルミネーションが点灯し、そのムードをさらに盛り上げる。宿探しの為、先程から散策中である勇者ソアラと一行は、この町の様子に季節の移ろいと時間の経過をしみじみと感じていた。

「そっかぁ。もうちっとでクリスマスなんだなー」
そう呟いたソアラを、皆は一斉に驚きの目で見つめる。勇者となるべく特殊な環境で育てられたソアラは、かなり世間に疎い。バレンタインはおろか、父の日や母の日、ハロウィン、その他諸々を一切、知らなかったソアラがこの行事を知っているというのは、誠に意外なことであった。

「なんだよ!俺んとこだって、クリスマスくらいはあったんだかんな」
この反応に抗議するソアラ。自分が世間知らずという自覚は多少あるが、そこまで酷くないやぃ!と憤慨する。
「ゴメン、ゴメン。なんかすっごーーく意外な気がしてさ」
「そうよね。私もそう思うわ」
それに対して率直な感想を述べたのは、隣に並んだモンバーバラの姉妹だった。そして同意する他一同。
「お前らなー、俺のこと何だと思ってるんだよ!あんな楽しいイベント、知らねーほうがおかしいじゃん!!」

「えぇー?楽しい?!そうかしら」
「やれやれ・・・」
「・・・・・姫様」
姉妹の後ろを歩いていたアリーナは、これについ本音を漏らしてしまい慌てて口を手で覆う。アリーナの隣のブライは首を静かに振り、その後ろに控えていたクリフトは、聖印をきり許しを乞うように空に祈る。宗教に厚いサントハイムの次期王位継承者の発言としては、実に嘆かわしいものだった。だが、アリーナにしてみればクリスマスは毎年、大嫌いなきらびやかなドレスを着て、一日中じっと座ってにこやかな顔でありがたい御話に、ただ耐えなければならないという苦痛の日でしかなかったのだ。

「何いってんだよ!旨いもんたらふく食って寝たら、次の日にはサンタがプレゼントまでくれんだぜー?スゲーいい日じゃん」
そう力説するソアラに、いつものごとく嫌な予感を覚えるクリフト。まさか、と思いつつもクリフトは探るようにソアラに尋ねる。
「確認なんですがソアラ、クリスマスが聖誕祭であることは知ってますよね?」
「セイタンサイ?!それってどんな野菜の仲間?」
「だから何故、いつも食物に結びつけるんですっ!」

案の定というかやはりというか、ソアラはまったくクリスマスの意味を理解してはいないようだった。聖職者であるクリフトは、こめかみを押さえつつ、その云われを説明をしようとする。

「あああぁぁぁぁ!そうだ!俺サンタにプレゼントのお願いの手紙書いてねーよ!!でけーくつ下も用意しなきゃ!!」
だがさらに、大声でこんなことを言い出すソアラにクリフトは勿論、皆も一斉に、前にのめった。

どうやらサンタについても、微塵も疑いをもっていないソアラであった。さすがのソアラクオリティ。

「そういえばポポロも、毎年この時期になるとお願い事に悩んでいましたねぇ。いずれサンタの存在も、疑う日がくるんでしょうが、もう少し夢を見ていてもらいたいような・・・。でも、ソアラ君みたいになっても、それはそれで困りますよね・・・」
「クリスマスとは、恋人の為のただの行事じゃなかったのか?!」
殿にいたトルネコとライアンは、一部始終を見ていて、これまた、まったく違う感想を呟いていたりする。

「ど、どうしよ!なぁ、荷物ん中に便箋ってあったっけか?それからデカイくつ下!」
「お莫迦。そんな事より今日の温かい食事と寝床の確保のが先よ。優先順位を考えな!」
と、慌てるソアラをマーニャが一喝し、とりあえずこの件はすべて宿に着いてから、ということで収まった。

そうして再び歩き出す一行。果たしてソアラには、どこからどう説明をしたものかと思案するクリフトにアリーナが振り返る。
「ね、クリフトはもしもサンタがいたとしたら、どんな事お願いをする?」
「私は特に欲しいものはありません。姫様達の無事と健康をお願いさせて頂きます」
「それじゃいつもと変わりがないじゃない。もぉぉ、よく考えてみて?何かないの」
クリフトの喜びそうな品をクリスマスにプレゼントして、自分の事を主君ではなく、一人の女の子としてもっと意識してもらいたいと考えるアリーナは、真剣な顔つきでクリフトに迫る。

「うーん。困りましたね」
と言いつつ、全く困った顔をしていないクリフト。愛する姫君のこの可愛らしいお願いに、ついついその端正な顔も緩みそうになる。それは端からみれば、非常に幸せそうな顔で、微笑んでいるようにしか見えなかった。

「ね、言ってみて?何が欲しい?」
「いえ、私は姫様がお幸せならそれでもう十分です」
小首を傾げ、少し上目遣いで見上げるアリーナに、内心胸高鳴るクリフトはつい本音をポロリと漏らすものの。
「その欲の無さも、本当にあなたらしいとは思うけど、それじゃダメなのよぉ!」
好意というものに非常に鈍感なアリーナには、それが全く伝わらないのがお約束。

「ダメと申されましても・・・。そういう姫様こそ、何か欲しい物などはないのですか?」
「わたしはいいの!わたしの願いは、自分で叶えないと意味がないものなの」
「なるほど、それはとても姫様らしいお考えですね」
「ほら、そうやって誤魔化そうとしてもだめなんだからね!さぁ、言いなさいよぉ」
「い、いや、その・・・参ったな」
と、どこからどう見てもウマとシカップルのような会話をいつまでも繰り広げ続ける二人は、最早仲間達のことなどおかまいなしであった。


「俺さ、サンタへのお願い決めたわ。あいつらをどうにかしてもらわんと、俺らの旅っていつまで経っても終わんねー気がする!」
付き合ってもいないのに、所構わず二人の世界に浸る彼らをこの先どう扱ったらいいのか、と遠い目をするソアラ。正直付き合ったら付き合ったで、またその言動に振り回されることを、彼とその一行はまだ知らない。

この一部始終を、何処からかみていた赤い服の恰幅のいい老人は、これも困ったように赤い鼻のトナカイと顔を見合わせたとか、なかったとか?!


おしまい

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#23[2013/01/04 18:35]     














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