The light stuff  あかるいひとたち

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献上した話、頂戴したお話

プロビデンス奏迷曲

☆こちらのイラストとお話は相互リンクさせて頂いております「天の比翼地の連理」阿月さくら様より1万Hit&快気祝いに頂戴いたしました!さくらさん、本当に有難うございます!尚、著作権は阿月様にあります。この作品の無断転載・複写・直リンク及びそれに順ずる行為は一切禁止とさせて頂きますのでご了承ください。



戴き物


世に謳われる『導かれし者達』の中には鉄壁の守りを見せる者が存在する。
その者は大きく変わろうとする事態の前に颯爽と現れ、己の犠牲を厭う事なく状況を打開する。
その鉄壁の守護の力を示し続けている男の名は。


「……だから、大丈夫ですよ。一人で外出するとは云え、街中なのですから」
「駄目だったら!…もう、そうやって直ぐに無理をするから倒れちゃうのよ!!」
ぷくっと可愛らしく頬を膨らませる娘の名はアリーナ。西の大国サントハイムの王女である。
「……それを言われてしまうと何も言えないのですが」
対する弱り顔の青年の名はクリフト。王女アリーナの側近であり、将来有望な神官である。

そんな彼がソレッタ大陸の玄関口ミントスにて不可解な病に倒れ、生死の狭間を彷徨ったのはつい先日の事である。アリーナが大層心配し、御自ら病を治すと云う霊薬を求めたと後から彼女の教育係の魔術師ブライから聞かされたクリフトとしては、先日の病を引き合いに出されると何時も以上に彼女に対し弱腰となってしまう。

「でしょう?」
弁の立つクリフトを論破したアリーナは愛らしい笑顔でクリフトを見上げる。
「だから私の傍を離れちゃ駄目!」
「は…、はい」
……今の台詞に深い意味は無い、決して深い意味は無い筈だ…!
王女へ淡い想いを抱くクリフトはともすれば勘違いしたくなる自分の平常心を守る防御呪文であるが如く、繰り返し頭の中で唱えた後、笑みを返した。
「御意のままに」
「…ん~、その返しだと私が命令したみたいで嫌」
アリーナが低く恨めしそうな声で不満を表現した唇を尖らせると、クリフトは肩を聳やかせながら戸惑った表情で王女を見下ろす。アリーナもまた挑む様な瞳でクリフトを見上げた。

「私は『姫様』では無く、唯の女の子『アリーナ』としてクリフトに接してもらいたいの!」
クリフトは本当に女心というものが解っていない。それがアリーナの見解だ。唯でさえ自分達には『主従』という恋愛には不必要な、というか、寧ろ邪魔なだけな関係性まで付き纏うと云うのにそのように勘の鈍い様子ばかり見せられると本当に男女の愛を永遠のものとする聖職が満足に務まっているのかと心配になる。
「そ、そうですか。申し訳ありません。え、えっと……、解りました」
仲間達の手前、従者では無く仲間として接する事を一とするようにと仰られたいに違いない。再び『深い意味は無い』と御決まりの呪文を頭の中で唱えた後、クリフトは自分の中でそう結論付けると頬を指先で掻きながら頭を下げる。

完全に満足のいく返答では無かったが、アリーナは良しとし、再び上機嫌な声色に戻した。
「で、何処に行くつもりだったの?」
アリーナは目を細めるとクリフトの腕を取り、己の腕を絡める。
「ひっ、姫さ…」
深い意味は無い、決して深い意味は無い…のかっ!?
戸惑うクリフトをからかう様な瞳で見上げたまま、アリーナは再び質問を繰り返した。
「一人で何処に行こうと思っていたの?」
「え、ええとですね…」
クリフトは王女の優しい温もりが伝わる左腕を出来得る限り意識しないよう努めなながら、先程の質問に応じた。
「薬草を見に道具屋へ行きたいと思いまして……」
何時どんな怪我をするか解らない。特に道具の調達もままならない長い航海の途中なら尚更だ。職業柄、薬草保管庫の管理を引き受けているクリフトは、比較的大きな街に着くと先ず最初に道具屋に立ち寄る事としているのだ。

「在庫には余裕があるのですが、この地方は火傷類に効果のある薬草が豊富と伺いましたので、薬学の勉強も兼ねて少し見ておきたいのです。火傷は戦闘中だけでなく炊事場でも起こり得る怪我ですからね」
「そう。……ふふっ、クリフトらしいわね」
「え……、そうですか?」
首を傾げるクリフトにアリーナは大きく頷く。
「うん。何時も自分の事よりも皆の事ばかり心配してるわ。皆の為に自分は何が出来るか、考えている。私もクリフトを見習わないとね」
「……私は姫様が思っていらっしゃる程人間が出来てはいませんよ」
クリフトは目を伏せると自虐的な笑みを見せた。
心配なのは。己の命を差し出しても守りたいと思う人は、後にも先にも一人しか居ない。

「…クリフト?」
心配そうな表情を見せるアリーナの不安を払うようにクリフトは首を横に振る。
「すみません。私は貴女の従者としても仲間の一人としても失格だと、そう思っただけです」
「…そんな事無い。クリフトは良くやってくれている。私こそ…、サントハイム王女の自覚乏しき振る舞いばかりしているわ。引き留めるブライを無視し、何の策も講じないまま闇雲にあなた一人の命の為に危険な洞窟へ単身向かった私こそ王女失格だわ。だけど」
アリーナは確かな光を瞳に湛えたままきっぱりと言い放つ。
「だけど私は、何度同じ事が起きたとしても、何度でも同じ行動を取るでしょう。…従者でも仲間でも無く、私にとって『クリフト』は大切な人だもの」
「……姫様」
自惚れだろうと何だろうと構わない。クリフトは己の腕に絡められた王女の腕に手を添えると心を落ち着かせる為、大きく深呼吸をした。臣下の分際で愚かな事をと罵られ、不遜なる振る舞いを永遠に咎められるかも知れないが、伝えたいと思った時を逃す事が一番愚かな振る舞いだと今のクリフトには思えてならなかった。
そう、譬え愚かな想いであろうと伝えられる時もまた永遠にある訳では無い事をあの病の中で知ったから。
「……。何?」
クリフトが放つ尋常では無い空気をさすがに読み取ったアリーナは、少し緊張した不安そうな面持ちでクリフトの台詞を待つ。
「アリーナ様。……私にとって」
僅かな迷いを滲ませたものの、心地良く奏でる心臓の音に身を委ねながら、クリフトは口火を切った。

私にとっての貴女も。
主人や仲間である前に大切な人だ。

だが幸か不幸か、そう続く筈だった台詞は御気楽な声によって無残にも遮られた。
「あ、道具屋に行くのか?俺も行く!ちょっと用があるんだよ」
陽気な笑顔で二人の前に現れた翠髪の青年は、頭を掻きながら聞かれもしない理由を唖然とした表情の二人に捲し立てる。
「姐さんの『銀の髪飾り』、俺が台無しにしちまってさ。俺の力ではどうにも直せないからこっそり道具屋で直してもらおうと思ってるんだ」
ソアラの手の中にある繊細な作りの銀の髪飾りは、数か所、歪に変形している。恐らく数度踏みつけたものと思われる。そそっかしい彼なら充分に考えられる所業だ。このままでは装備は難しいだろうが、如何に修理を施しても元の美しい曲線を手に入れる事は更に難しいと思われる。

「……。ソアラ」
何で邪魔するのよ。アリーナは頬を膨らませ勇者を睨んだ後、酒を呑むような仕草を見せるライアンと会話中のマーニャに向かって声を張り上げた。
「マーニャ!ソアラがマーニャの『銀の髪飾り』、壊しちゃったんだって!!」
「はあっ?何ですって~?」
怒りに顔を歪めるマーニャを見たソアラは顔を青褪めさせる。
「ば、莫迦、アリーナ!何で言っちゃうんだよ!!」
焦るソアラにアリーナはふんと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「知らない」
「…姫様」
クリフトは『困った御方だ』と謂わんばかりの笑みを浮かべるとマーニャに睨まれ青くなっているソアラの肩を叩いた。
「ソアラ。此処は私が引き取ります」
「おお、クリフト!俺を弁護してくれるのか…!!」
尊き神の名の下、生きとし生ける者は全て平等であると説く神官はソアラの援軍かと思われたが、それは大きな間違いであった。

所詮人の子である神官は、愛する王女の名の下、時に不平等なる行動に走る。
「大丈夫ですよ、マーニャさん。ソアラに万事お任せ下さい。修理しても元通りの美しさは得られそうも無いので、ソアラが自腹で新品を購入するそうですよ!」
「お、おい、クリフト!!」
それならオッケ~よ、と御機嫌な様子で手をひらひらと振るマーニャに背を向け、ソアラは歯軋りをしながら神官を睨む。
「あの髪飾り、幾らすると思っているんだよ!」
クリフトは溜息を吐きながら、明後日の方へと目を向けつつ独り言のように呟いた。
「……自業自得です」
「…何なんだよ、おめえ等は」
ソアラはがっくりと頭を垂れる。
「俺が何をしたって言うんだ」

世に謳われる『導かれし者達』の中には鉄壁の守りを見せる者が存在する。
その男の名は、勇者ソアラ。
空気を読むと云う言葉は恐らく彼の辞書には載っていないのであろう。
御邪魔虫の勇者は今日も神の如き采配にて二人の恋の進展を防ぐ事に尽力し続けている。

END


以前頂戴いたしました「ブラックミスト狂死曲」にひき続きまして、またウチの設定で書いて下さいました!!
ソアラが上品です(笑)神官もヘタレてませんし姫様もとても可愛らしいです。私が書くのと比べたらいけませんが数段こちらのがイイと思います。さくらさん、本当にありがとうございました。私も頑張らせて頂きます~。
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