The light stuff  あかるいひとたち

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献上した話、頂戴したお話

「一週間」 

☆こちらは当サイト1万Hit記念に、相互リンクさせて頂いております玩具のない王国のたみこ様より、頂戴いたしました。著作権はたみこ様にあります。この作品の無断転載・複写・直リンク及びそれに順ずる行為は一切禁止とさせて頂きますのでご了承ください。


「一週間」 (クリアリで一週間)

□■□■□■
いつも通りの月曜日

ミントスで病に陥っていた私は皆さんのお力によって再び回復することができました。
あれから三週間経った今ではすっかり元通りになりました。
その分しっかり働いて皆さんのお役に立てるように努めております。
再び動けるようになった私ですが、これまで三人だった旅が急に7名となり戸惑う事も多いのです。
ブライ様や姫様は私が馬車でいる間も皆さんと共に動いておられましたので知らない習慣等にも既に馴染んでいるようでした。
私も徐々に馴染んできたつもりですが、道行く先々で郷里を思い出すものに触れると、三人で旅してきた日を懐かしく思います。

昨日、一昨日振り返っても特に変わり映えしない

そんな

いつも通りの月曜日。

□■□■□■

溢れ出そうなこの想い

人数も増えてにぎやかになった旅。
じっとしているのが苦手なアリーナが珍しく馬車の中でいてたのでクリフトは声をかけた。
アリーナは目の前の小さな金属の二つの輪をカチャカチャと動かしている。
「知恵の輪ですか?」
「うん、勇者にもらったの」
一瞬交わした瞳は再び知恵の輪にそそがれる。
「難しいのよねー。無理やり引っ張ったらすぐできるけどそれじゃあ意味ないものね」
かちゃかちゃさせながらアリーナは小さな輪に集中し出す。
集中しだすと他人の声が聞こえなくなるのはクリフトだけではない。
その姿をそっと見守るクリフトはふとアリーナに知恵の輪を渡した勇者が浮かべる。
勇者がアリーナの事を呼び捨てるのを初めて聞いた時ブライと共に無礼なと思ったが、アリーナ自身がその方がいいと言ったのでそのままになっている。
王女に接する態度としては問題あるだけで、立場を覗けば特に問題あるわけではない。
そして、アリーナにとって身分や立場にとらわれず接する事のできる仲間を見つけられたことは何よりも貴重な事に違いない。

勇者が親しげにアリーナと呼ぶ声がクリフトの頭の中で反芻する。
自分は永遠に口にすることができないかもしれないと思うと勇者がとても羨ましくなる。


目の前には自分に背を向けて遊びに熱心になっているアリーナがいるだけで他に聞かれる人もない。

溢れ出そうな想いを乗せてクリフトはそっと呟いた。
「アリーナ……さま」

声に異質な物を感じてアリーナは振り向いた。


□■□■□■

言ってほしいの その口で

何時もと違う響きを感じてアリーナは振り向いた。
だけど、そこにはクリフトしかいない。
クリフトはアリーナの事を『姫様』としか呼ばないのだ。
でも、確かに『アリーナ』と呼ばれた気がしたのだ。
クリフトに聞いてみるが、首を振っている。
「名前を呼ばれた気がしたのだけど、気のせい?」
「おそらくは」
そう言ってクリフトは頭を下げた。
「なんだ、勘違いなのね」
アリーナはそう言うとまた前を向き直った。
勘違いと知りながらも、耳元をくすぐる響きにアリーナの頬がうっすら染まる。


もうすぐ解けそうだった知恵の輪はとっさに力が入ったため、また元に戻っていた。

□■□■□■

辛くて悲しい火曜日

今日の夕方、コーミズ村に到着した勇者一行はマーニャとミネアが懇意にしていた宿に泊めてもらった。
旅で溜まった垢を落としてすっきりしたアリーナは最低限の下着だけでベッドにダイブした。
ふわふわしたベッドの感触にアリーナはにんまりとし、そのまま枕を抱えて左右にごろごろする。
マーニャは鏡台の前で髪の手入れに勤しんでいる。
「ミネアは?」
「ああ、あの子なら昔の家に行ったわ」
マーニャは櫛を置くと、紫水晶を溶かしたような長い髪をかき上げる。
「そうなんだ。でも、早くしないとお湯つかえなくなっちゃうのに」
アリーナが心配そうに言うとマーニャは平気平気と手を上下させる。
「この大陸は水回りが悪くないから夜お湯使ってもちゃんと出るから心配しなくていいわよ」
マーニャそう言った後アリーナを見下ろす。
「それよりアリーナ。ずいぶん刺激的なカッコのままじゃない」
迫力のある美貌が間近にきてアリーナが思わず一歩下がった。
「だってこっちの方が涼しくて気持ちいいんだもん。マーニャはそうじゃないの?」
普段の踊り子の服からぴんと来ないぐらいちゃんと寝間着に身を包んだマーニャを見る。
「まぁ、これも一種の職業病ってやつかしら?踊り子たる者いつでも体調万全にしていないといけないからね」
マーニャは長い爪でアリーナの額をピンと弾く。
「というわけで、そんな恰好してたら寝汗で返って風邪ひいちゃうからね。神官君に今の姿を見せてあげたいわ」
「あー、やめて。またお説教されちゃうから」
そう言うとアリーナも綿の寝間着に袖を通す。その後、愛用のハンドグリップを探すが見つからない。
記憶を遡っていくと、お昼すぎ馬車で休んでいた時に使ってそのままだった事を思い出す。
アリーナはマーニャにちょっと取りにと声をかけて部屋を出て行った。

コーミズ村は静かな村で、あまり遅い時間ではないのだが人通りがない。
緑あふれる中、ただ大きな月がぽっかり浮かんでいた。
そんな月明かりの中アリーナは町の入り口に繋いであるパトリシアを撫ぜるとひらりと荷台に飛ぶように乗った。
目当てのものはすぐに見つかり、早速使いながら宿へ向かう。
宿まですぐだが久しぶりに一人で歩くのが気持ちよくってそのまま村を散歩して行く事にした。
夜中にこうして一人で歩いてるなんてブライやクリフトが知ったら怒るだろうなと思うが解放された気分で足が弾む。
そう思って奥まで行くと人の姿が見えた。

それはクリフトとミネアの姿だった。
二人は見つめ合っており、更にミネアの両手をクリフトの手が包んでいた。
アリーナは思わず近くの木陰に身を潜めた。
あの二人がまさかそんな……。
そう思いながら見ていると、今まで二人が仲睦まじそうにしていた姿ばかり頭に浮かぶ。
薬草の調合や傷の手当、調理や裁縫など色々こなす二人は自然と一緒にいる機会も多く、また話も合うみたいだった。

話が終わったらしく二人はゆっくりと歩き出す。
ミネアの背に回ったクリフトの腕をじっと見つめる。

『何があってもずっと姫様の傍に居ります』
サントハイムが虚城となった時落ち込んだ自分を慰めてくれた言葉を思い出す。
その時に優しく撫ぜてくれた手を思うと胸が締め付けられるように痛んだ。

涙があふれてくるのが自分でも分かった。


ああ

私、クリフトが好きだったんだわ。

今になってやっとわかった。


二人が見えなくなるまでその姿を見送った後、アリーナは両手でこぼれる涙をおさえた。


そんな

辛くて悲しい 火の曜日。

□■□■□■

失言、失敗 水曜日

全員で食事を済ませた後、クリフトはそっとアリーナに近寄った。
「姫様、どうされましたか」
覗きこんでくる顔は昨日の夜ミネアに向けた顔を思い出させる。
「別に無いわよ」
そっけなく答えるアリーナのトンガリ帽子をクリフトは少し持ち上げる。
「何でもないお顔ではありませんよ。嘘つくのならもっと上手になさい」
クリフトが濡らしたタオルを差し出すが、アリーナは受け取らない。
「そういうクリフトだって私に何か隠してることあるんじゃないの」
クリフトは眉根を少し寄せて考える。
「申し訳ございません。何か御不興をこうむる事をしでかしたのなら教えてください」
クリフトがじっとアリーナを見つめるとその視線に負けた様にアリーナは視線を逸らし口を開きかけた。

間が悪く丁度その時馬車陰からミネアが顔を出す。
「クリフトさん、薬草の配分ですが」
踏み込みかけたミネアは二人の雰囲気を察するとまた後でと声をかけて外した。
沈黙の後アリーナが押し殺した声で言う。
「……いいじゃない」
末尾しか聞き取れずクリフトが聞き直す。
「ミネアの所に行けばいいじゃないって言ったのよ」
「いいえ、行きません。ミネアさんの所には後で伺います。今は姫様のお加減の方が心配です」
「嘘ばっかり」
「嘘じゃありません」
「私はクリフトと話なんてしたくないわ」
「そんな」
「とにかく今はあなたと話もしたくないし、顔も見たくないの」
「私が悪かったら謝りますから、そう頑なにならないで下さい」
「頑なになんてなってないわよ。とにかく早くどっか行ってよ」
アリーナがそう叫んだ後、顔を上げると目の前のクリフトの顔は強張っていた。
言いすぎたと思ったが、上手く言葉が出ない。
クリフトは堅い顔をさせたまま、丁寧に頭を下げた。
「わかりました。姫様のお気持ちを察することもできず申し訳ございませんでした」
「あの、クリフト……」
「姫様のおっしゃる通り失礼させていただきます。ご無礼をして申し訳ございませんでした」
硬質的な声色にアリーナは何もいう事ができず、クリフトが馬車の方に消えるのをただ見送っていた。
そして、幌の向こうから話し声が聞こえた。
アリーナはその声を聞きながら馬車の中で膝を抱えてうずくまった。

そんな

失言、失敗 水曜日

□■□■□■

許されない 木曜日


アリーナは一口大に切った肉を口に放り込む。
味がしない。

ねぇ、そこのソース取って
そう言おうと思って振り向くが、そこに座っているのは勇者だった。
クリフトは目の前で黙々と食べている。
あれからクリフトとは一言も口を聞いていない。

それでもそっとソースを目の前に置いてくれる。
いつもは楽しい食事時間も今日はカチャカチャとナイフとフォークの音が不自然に響くだけ。

そんな

許されない 木曜日

□■□■□■

うっかり誤解の 金曜日

顔も見たくない。
そう言われてから二日経った。

大嫌いだと言われたようなものなのに、それでも気が付けば目は姫様を追いかけてしまう。
我ながら女々しいとクリフトは思う。

良い水場が有ったのでパトリシアを休ませることになった。
その為休息時間となったのである。

各自思い思い過ごしていた矢先にミネアが息せき切って走ってきた。
「アリーナさんがドラゴンに」
クリフトは反射的に立ち上がる。
「どっちです」
まさかこんな所にドラゴンが居るなんて。
そう思いながら走ると確かに咆哮が聞こえる。
クリフトがアリーナを捉えられる場所まで来ると、ドラゴンの喉の奥から炎がちらつくのが見える。
クリフトは勢いづけて飛ぶと、アリーナを庇うように横から覆いかぶさる。
「大丈夫ですか?姫様」
背中は不思議と熱くない。
だけどそんな事を言ってる場合じゃない。
ドラゴンが一歩その足を踏み出してくる。
大きな足が二人の頭上にあげられると、クリフトはアリーナごと横に転がる。
二人がいた場所にはドラゴンの足がズシンと大きな音をたてて落ちてきた。
アリーナは立つとクリフトの前に飛び出した。

「もう止めて、マーニャ」

両手を広げるアリーナを前にしたドラゴンは咆哮するとその姿がみるみる縮んでいく。
妖艶な踊り子の姿に戻った姿を見てクリフトは呆然とする。
「マーニャさん……ですか」
「ふふふ、坊やには刺激が強すぎたかしら」
鉄の扇をもって艶めいた笑いを浮かべているマーニャにクリフトが問い詰める。
「そういう問題じゃないでしょ、一体どうしてそんなことするのですか。姫様に何かあれば、例えマーニャさんとはいえ許しませんよ」
「あらー、アリーナに何かするつもりなんてなかったわ」
「では、火を吐いたり踏みつけようとしたりしたのはどういう事なんですか」
「フリよ。火を吐く振り。アリーナが見たいって言うんだもの。それと踏みつけるんじゃなくって近くに寄ろうとしただけよ。ね、アリーナ」
最後にマーニャはアリーナにウィンクするとクリフトはアリーナを見る。
「そうなのですか」
疑わしげな視線を投げかけるクリフトにアリーナは頷く。
確かにマーニャがまだ実践で使った事の無い魔法があるという事で見せてもらったのである。
するとマーニャがドラゴンに変身して色々自由に動けるのを見せてもらった。
マーニャの口から炎がちろりとかすめたのは振りだけだとわかっていたので、クリフトがいきなり飛び出して来たことに寧ろアリーナは驚いたのであった。

勘違いだとしても身を挺して庇ってもらったのは嫌じゃなかった。
ただ一昨日から口を聞いていないので、クリフトに対してアリーナは何も言えないでいた。

本気で怒っているクリフトに遅れてきたミネアが呆れた様に口を開く。
「クリフトさん、姉さんにだったら遠慮なく使っていただいてもよろしいですから」
「そうですね、それもいいかもしれませんね」
憮然としたクリフトが腰につけている道具入れの中から静寂の玉を取り出す。
それを見たマーニャがミネアを見るとミネアがアリーナにも分かる様に事情を説明する。「この前村へ帰った時受け取ってもらったのよ。もし私たちに何かあったらこれをお願いしようと思ってね」
「アンタこれ無しで挑むつもり?」
ミネアが頷くとマーニャが面白そうに笑う。
「そうね、あんな奴ら私たちの力だけで十分ね」

そして、ミネアがそっとアリーナに近寄る。
「すみません、この玉をお渡しする時少しだけお借りしましたわ」
首をかしげるアリーナにミネアは他の人には聞こえないような小さな声で囁いた。
『クリフトさんを』
そう言うとミネアはにっこりと笑った。
自分の心が見透かされているようでアリーナは恥じるように赤くなった。

馬車までの帰り道マーニャはミネアに怒られていた。
最もちゃんと聞いてるかも怪しい物だったが、その為帰りは必然とアリーナとクリフトが並ぶような形になる。
「クリフト、ありがとうね」
「いえ、こちらこそ勘違いして出過ぎた真似をしてしまい申し訳ございません」
「ううん、ひどい事言っちゃったのに庇ってくれて嬉しかったわ」
「当然の事です。いつでもこの身に変えましても姫様をお守りする所存でございます」
そう言っていつもの様に一歩下がろうとするクリフトの手をアリーナが取った。
「うん、それが分かって嬉しかった」
アリーナの足が止まるとクリフトも歩みを止める。

勘違いから始まった喧嘩は勘違いによって修復しようとしている。

そんな

うっかり誤解の 金曜日

□■□■□■

知らないふりして受け止めて

クリフトは歩みをやめたアリーナの顔をじっと見る。
「姫様?」
しばらく間を空けてからアリーナがクリフトの手をはなす。
「ごめんね。勘違いしてたのは私なの」
何のことか分からないクリフトにアリーナが小さい声で付け足した。
「この前怒鳴ってごめん。クリフトのいう事も聞かずに一方的に決めつけちゃって悪かったと思ってるわ」
俯くアリーナにクリフトは笑顔を見せる。
「いいんですよ。何かわからないけど誤解が解けたようで嬉しいです」
「良くないわよ。だってクリフトは何も悪いことしてないのに」
謝っているのに少し膨れた顔を見せるアリーナはクリフトの目にはとても可愛く映っていた。
微笑むクリフトにアリーナは一瞬躊躇った後、思い切って聞いてみた。
「一昨日の夜、クリフトとミネアが抱き合ってるの見ちゃったの。ね、ミネアが好きなの?」
「抱き合ってませんでしたが……そう取られてもおかしくない状況だったのは否定できませんね」
件の事を思い出しクリフトは苦笑した。
「ですが、決してミネアさんと何かあったわけではなく。その……なんというか」
しどろもどろに説明しだすクリフトにアリーナはあっさり頷いた。
「うん、それはさっき聞いたわ」
「あと、こちらもです」
クリフトが袋の中から銀のタロットを取り出す。
「バルザックを倒すまでの間預かっておいて欲しいと言われました。占者としてではなく、一人の娘として父の敵を取りたいのだとおっしゃってました。受け取るべきか迷いましたが、かなり前から決意されていたようです。本当はもっと直前に渡すつもりだったみたいですけど、久しぶりに家に戻ってきた事で色々気が高ぶってたみたいですね」
「でも、それならクリフトじゃなくても良かったじゃない」
私だって持ってあげられるわと言いたげなアリーナにクリフトは言った。
「いえ、私だったと思いますよ」
「なんで?」
「私とミネアさんの役割考えてみてください。キングレオやバルザックに対峙するのに回復役は二人じゃ多すぎるでしょ。姫様が前に立たれるのなら、私も対峙したかったのですが、ミネアさんのお気持ちを感じるとそうも言ってられません。最もミネアさんに言われるまでもなく勇者さんの頭の中ではこの二戦はお二人姉妹で考えられておられたと思いますがね」
頷くアリーナにクリフトは続ける。
「という訳で姫様、サントハイムを取り戻すまでは私は援護に回ります。それまでは、皆さんの戦いに余計なものは一切立ち入らせないつもりです」
「分かったわ、じゃあ遠慮なく戦えるのね」
「はい、姫様は思いっきりその拳をぶつけてきてください」
「まかせて」
拳を突き出すアリーナにクリフトは小さく咳払いをする。
「という事で先ほどの質問ですが、ミネアさんの事は好きだとは思っていますが、それはあくまで仲間としてです。ミネアさんも同じと思います。これで答えになったでしょうか」
アリーナが頷く。

「ねぇ、あの日いつも一緒にいてくれるって言ってくれた事覚えてる」
「もちろんです」
「私ね、クリフトに好きな人ができるなんて考えてなかったの。ただずっとあの時の言葉のままずっと一緒にいてくれるんだと思ってた。だからすごくショックだったの」
顔を赤くさせたアリーナがクリフトを見上げる。
「何で怒ったか、わかったでしょ」
「それは……」
クリフトもうっすら顔を赤くする。
「いえ、それこそ私の勘違いかもしれないので」
アリーナは深呼吸する。
「じゃあ、知らないふりして聞いてほしいの」

もう気持ちは言ったも同じ。
だけど、はっきり言葉で伝えたい。

「クリフト、私あなたの事が好きみたい」

□■□■□■

手を引いて連れて行って

「臣下の身としてこのような事を申し上げても良いのかわかりませんが」
クリフトが襟を正しながら言うのをアリーナは聞いた。
続く言葉にアリーナが頷くと、クリフトは照れを隠すように神官帽を深くかぶり直した。

二人はゆっくりとゆっくりと歩く。
改めて何を話していいいのか分からない二人にはただ草の踏みしめる音が聞こえてくる。
だが、そんな時ももうすぐ終わる。遠目に馬車の白い幌が見えてきた。
「皆、待ってるかな」
「そうかもしれませんね」
クリフトがそう言うとアリーナをじっと見つめる。
逸らされる事の無い蒼い双眸にアリーナは急にぎくしゃくした様に笑うと並んでた体を半身前に出す。
「一足先に言ってるね」
そんなアリーナの手をクリフトは取る。
振り返るアリーナの隣にクリフトが再び並ぶと繋いだ手に力がこもる。
「姫様」
アリーナは見つめる蒼に無言の肯定を返すと、ほんの少し手を引かれる様に進む。
馬車まで永遠にたどり着けなければいい。

繋いだ手をそのままに、わずかな距離だけ二人は歩いた。

□■□■□■

関係変わるこの週末


朝練する為に起きてきた勇者は先に鍛練している二人に声をかけた。
「早いな。お前ら」
いつも朝練をするのは勇者とアリーナ、そしてクリフトだった。
その中で目いっぱい鍛練をするのは勇者とアリーナの二人。
クリフトは自分の鍛練もするがどちらかと言えば、勇者とアリーナのサポートしている場合が多い。
また雑務も多いので最後までいる事はほとんどない。
途中で抜けて、最後にタオルや飲み物など持ってきてくれる。

仲直りした二人はいつもの様に談笑している。
だが、妙にいつもと違う。
何がと言われると困るのだが勇者はそう思った。

にこにことアリーナを見守り、甲斐甲斐しく世話を焼くクリフトはいつもの事。
ナチュラルに思わせぶりな台詞をクリフトに吐くアリーナもいつもの事。
そしてアリーナの言葉にクリフトが一喜一憂するのもいつもの事。
今だって嬉しそうに顔を歪めたが、アリーナが何も考えてない事が分かって少しひきつった笑いをしている。

その後、アリーナが意味に気づいたみたいで、顔を赤くしてフォローをした。
お、珍しい事もあるもんだと思って見ていると、アリーナがちらちらと俺の方を振り返る。
クリフトの方を見れば、顔を赤くして口元に手をやって明後日の方を向いている。

これで誤魔化してるつもりなのか。
分かり易すぎるだろ。お前ら。

腹筋が痛くなるほど笑った勇者はこの後、異常に調子の良いアリーナに立て続けに会心の一撃を食らうのであった。


そんな

二人の関係が変わった一週間だった。


fin.
********************************************************************************
クリアリ両思いまでの一週間の軌跡、読んだときから唸りっぱなしでした。たみこ様、本当に素敵なお話をどうもありがとうございました!!
私のどうにもこうにもお笑いに走るようなクリアリとは真逆の何とも可愛い、ほのぼのとしたクリアリを堪能できて、もういつサイトたたんでも悔いはないです(こら)

以下たみこ様のコメントを抜粋して、この文章のしかけ?をご説明いたしますと

「一週間」の短文(じゃないのもまざってますが)
い いつも通りの月曜日
つ 辛く悲しい火曜日
し 失言、失敗 水曜日
ゆ 許されない木曜日
う うっかり誤解の金曜日
かん 関係変わるこの週末

の間に「愛して」を入れてみました。

あ 溢れでそうなこの想い
い 言ってほしいのその口で
し 知らないふりして受け止めて
て 手を引いて連れて行って

と、こうなります

そうなんです!よく見ると文字は繋がっていたんですね。実は私はここまで手が込んでいるとは気が付きませんでした。たみこ様、せっかく書いて頂いたというのにすみませんm(_ _)m
ですが、宝物としていつまでも大事にしたいと思っております。本当に本当にありがとうございました!!!




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#22[2012/09/13 22:21]     














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