The light stuff  あかるいひとたち

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「冒険中の話」
冒険中 ちょっと長めの話

Rise and shine ~俺の寝相が悪い理由~ その1

俺はかなり寝相が悪いと言われる。それは昔っからのことで、母さんや幼馴染には、どうしたらそんな恰好で寝ていられるのかとしょっちゅう不思議がられた。あと寝言もウルセェらしい、俺は寝てるんでよくわからんけどな。それと、俺は人が俺より先に寝ちまうのが好きではない。だから絶対にその邪魔をすることにしてる。だってなんだか寂しいじゃん、そう思わねえか?

安眠妨害だと何度も注意はされたけど、直す気はさらさらなかった。そしたらとうとうおっちゃん達は、俺と一緒の部屋で寝ることを全力で拒否するようになった。それにはなんか傷ついたけど、皆の怖い顔みたらもうなんも言えんかった。で、必然的に俺はクリフトと宿で必ず同部屋ってルールが出来上がる。あいつはじーちゃんからそう『命令』されてさ、珍しくもスゲー納得出来ねぇ、って顔しながらも頷いてはいた。

俺的にいえば、クリフトと一緒は正直スゲー気楽で、面白い。あいつのが1こだけ年上ってのがちょっと気にくわねーが、それ以外は上手くいってんじゃねーかな。寝てるときにちょっかいだすと、うるさがっちゃいても律儀に対応してくれることも多い。それにあいつは俺が唯一、両親や幼馴染の事を包み隠さず話せた相手だ。こう言うと照れくさいけど、同年代の友達ってさなんかいいよな。

けど、俺のこの『悪癖』は、やっぱ人にとっちゃハタ迷惑な代物だったりするのかもな。因果応報とかいうんだっけか、これ?今、一人そんな風に思いながら、俺は盾を構えて迫りくる恐怖と必死に戦っていたりする。

この宿に辿り着いたのは、もうとっぷり日も暮れて星が瞬きだすような時刻だった。地図をさ、読み間違えてやたら時間くっちまったんだよ。言っとくが今回は俺じゃねぇぞ?やらかしてくれたのはアリーナだ。でもそれについては語ると長くなるんで、また今度ってことにしようぜ。でな、いつもの部屋割りで部屋の確保も出来たんで、とにかく飯喰って、打ち合わせは明日って事で解散して、すぐ風呂入ってもう俺もクリフトもバタンキューよ。

皆似たようなもんだと思う。いつもなら俺らの部屋に、絶対一度は顔出すはずのアリーナも来なかった。姐さん達には今日は魔力がほぼゼロ近くなるまで、本当に頑張らせちまった。ライアンもボロボロになっちまったし、じーちゃんは年だし、おっちゃんもダジャレが全然出ねぇくらいに疲労してた。皆ゴメン。俺はもちっと鍛えねーとダメなんだな。人を守るには、やっぱ強くなんねーとって今日痛烈に実感したよ。

って今の俺それどこじゃなかったんだった!!俺はいまとにかく『悪癖』のせいで生命の危険に晒されてる。その原因は、俺の隣のベッドの野郎のせいだ。こいつ、絶対俺よか迷惑!マジで凶悪!!危険すぎ!!

いや、俺さぁ、さっきトイレに起きてからっていうものなーんか寝付けなくなっちまってよ、寝返りうったり、羊数えたりしてたんだけど、どうにも目が冴えちまった。なのでこいつ起こして、いつものようにちょっとだけ相手してもらおうかなって考えたわけ。呼びかけても返事がないんで、やっぱ叩くとか揺するとかしねーとだめかな、ってんで近寄ったの。そしたらこの野郎、どうしたと思う?

元々気配には敏感なやつだから、すぐに目は開けやがったんだ。けど、かなり寝ぼけてやがった。ま、俺らに比べりゃ体力ねーから、そんだけ相当疲労してたってことだろうけど。話相手しろよって俺が言ったら(ランプの明かりをぎりぎりまで落としてたし、薄暗いからイマイチわかんなかったけど)起き上がってさ、にっこり笑ったような気がしたんだよな。途端にぞくり、と背中に寒気が走った。

そう、このにっこりは、俺を震え上がらせる『悪魔の』微笑みだ、と俺の中で警報が鳴った。

俺は咄嗟に立てかけておいた、はぐれメタルの盾(マホステの効果有り)をあいつに向かって掲げていた。いや、俺本当によくそう判断できたと思う。自分で自分を褒めちゃうぜ!盾は案の定、俺に向かって放たれた呪文を霧散してくれた。そうなんだ、こいつ寝惚けていきなり俺に『ザ』のつくお素敵呪文ぶつけて来やがったんだよ!!

「何すんだ!おい。俺を殺す気かよっ!!」
「・・・・・・・」
怒鳴ったんだけどさ、ダメだな。完全に寝惚けてやがる。目が据わってんだけど、どっかぼーっとしてて、頭ふらふらしてんの。そんなんなのに、俺がちょっとでも動こうとするとだな、速攻でまたあの呪文飛ばしてくんだ!!こいつってさ、なーんか最近やけに呪文詠唱すんの早くなりやがった。俺なんかよりよっぽど素早くて、無鉄砲なアリーナの相手を長年やってきたからなんだろうか?今や怪我した途端に、速攻で治しやがるんだぜ。

さらにこいつはどうやら、印を結ばず、呪文練成の文言すらもほとんど省略して、呪文を発動させられるらしい。俺、今まで全然魔法学の勉強はしてねーから詳しくはよくわからんが、理論上これを行うには相当に優秀な能力と努力の両方がないと不可能だと聞いちゃいる。それを何で俺が知ってるかってのは、もう見ての通りだよ、今まさにそれをやられってっからだ!!人のこと食欲魔人だなんだって言うけども、こいつも大概人外魔境じゃ!!

俺は、というと剣は得意だけど魔法はからきしだ。遅ればせながら鍛えてもらっちゃいるが、やっぱ苦手なもんは苦手。だから印を結ぶのも詠唱も遅いし、威力もイマイチ、制御もきかねえときた。ぶっちゃけ俺、自分でもあんまルーラ唱えたくねえもん。だからな、今俺がこいつの呪文を防ぐためにアストロンとかマホステを唱えようとしても、詠唱速度で負けちまうんだよな。

「ちょ、もしもし?起きろよ。いや頼むから起きて下さい、お願いします!」
そう必死に訴えるんだけど聞いちゃいねーし、返事の代わりに呪文が来やがる。だけどこうして盾掲げてるにしても、精神的にも肉体的にもやっぱ限度があるんですけどっ?!なぁ、俺は一回あの世いかなきゃだめなんかい? 嫌だぞ俺。そんな間抜けな死に様、絶対に晒せるかってーの!!!

「この不届き者・・・。私の姫様に触れるな、穢らわしい」
「何でだ!何でいきなりその展開っ?!」
俺はアリーナのことは、何とも思ってないんだって何万回説明させんのよ!!つかさ、そのセリフは是非本人に言ってやれって!!
「はやく姫様から離れろ。それ以上魔物如きが触れていいお人ではない」
「おい、どんだけ寝ぼけてんだ!俺は魔物じゃねーし、これはアリーナじゃねぇ!!とにかく起きろぉぉ!起きて現実に戻って来い!!」
夢ならこいつもこんなに素直になるんかいな。なぁんて場合じゃねぇっていい加減学習しろぃ俺!!腕もさすがに疲れてきたし、何より俺は、あの呪文が怖くて怖くてたまらない。しっかしこいつの寝ぼけ方尋常じゃねぇな。大体な、それが(黙っていれば)絶世の美少年に向かっていうセリフかってーの!魔物っていうなら、じーちゃんの方がよっぽどコンジャ◯ー似だろうが!

何でこの盾がアリーナなのよ?これスライムの意匠っぽいもんが、しっかりくっきりど真ん中に刻まれてっだろーが。よっぽど疲れってんのと、日々アリーナとスレ違いコントばっかやってっから、そのストレスなんだろか?だが、そんなもんをなぁ俺にぶつけんじゃねぇよ!!このヘタレ。

あ、もうダメ。俺、ヤダ。もう耐えられねぇ!!!!!!!

「う、動くなっ!!動けばどうなるかわかってんのか?」
俺は盾を人質にじりじりと移動を開始した。脅しが効いたのか、さすがに呪文を飛ばしてくることはねぇけど、あいつから放たれる、冷たく鋭い刃のような圧力には、もう心が折れそう。うう、マジ怖いよぉぉぉ。

普段は虫も殺さねえって面してるくせに、こいつはこうなると見境も容赦もない。まぁ、それでもミネアよりは優しいとは思うがな。ミネアは俺の逃げ道を一切遮断した上で断罪してくっけど、こいつは逃げ道は作ってくれるから。今も結局は、そうなんかもな。俺は盾をもったまんま、じりじりと後退し部屋の入り口に辿り着くことに成功した。狭い部屋でよかったぁぁぁ。そこで俺は素早くドアを開け、半ば転がるようにして外へ出る。盾は勿論あいつに向かってぶん投げた!ああ、助かった!!俺生きてる。やったぜぃ!!

しかし、このあとどうすっかね?正直今すぐに部屋に戻る気はしねぇ。しょうがねぇな、ちょっとほとぼりさめるまでは、ここでこうし・・て・・・・。そうして、極度の緊張から放たれた俺の意識はここで途切れたのだった。

続きます
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