The light stuff  あかるいひとたち

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花五題5 小さく可憐な菫

お前の瞳の色は、これによく似ている。そう言ったら、はにかみながら『ありがとうございます』とうれしそうに微笑んだな。なぜ、だ?お前を助けたのは、ほんの気まぐれにすぎぬ。奴らがお前を虐げていたことに、特に腹を立てたわけではない。奴らがただ目障りだった、それだけだ。たかだかエルフの小娘一人、どうなろうと私は知らん。そう告げてもお前は私を『優しい人』だと言った。魔族の誰もが恐怖と畏怖とほんの一握りの畏敬を込めて頭を垂れるはずの、この私を真っ直ぐ見つめるお前の瞳には、私の見知らぬ感情が見えた。私がお前の元を度々訪れるようになったのは、それが心地よかったのだろうか。

やがて死を司る名を冠した私に、お前は哀しそうな顔をするようになったな。はらりはらりとルビーの涙をこぼしながら、かむりをふるお前に心はざわついたが、私の決心は揺るがなかった。人など滅ぼしてしまえば良いのだ。奴らのような下等な生物に、この地は相応しくなどない。優れたよりよい種族が治めてこそ繁栄の道はひらける。私はそう信じていた。

だがお前は・・・・・。お前は私の目の前で無残に命を散らし、その菫色の瞳は遥か彼方を見たままもう戻らなくなった。可憐な花が最後を遂げたと同時に私も精神の死を迎え、ただの憎悪の塊となった。まさかそれが我が下僕の手引きだったとは思いもよらぬ出来事だったがな。私の詰めがどうやら甘すぎたということか。

そうして今は、また滑稽なことにあれほど忌み嫌い滅ぼそうとした人の世で、お前と私は生きている。いや、生かされているのか?だが、感謝はするまい。それがあの翠緑の勇者と私の、唯一合致した意見だからな。

もうお前は何も心配せずともよい。その瞳と笑顔を離しはしない。誰にも奪わせぬ。私はお前が望む限り、こうして共に生きてゆこう。あの時お前が最後に望み、果たせなかった約束だからな。

お前は知っているのだろうか、これを人間は愛というのだそうだ。くだらんとは思うが、悪くはない。

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君を想う、春を思う様よりお題をお借りいたしました
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