何で俺が勇者なんだろうなって思うよ。何時でもどこでも今でもな。ふっとそう思うことがある。だって俺はそんなもんになりたかったわけじゃねーもん。確かに外には出たかった。ただ危ないからって理由だけで、17にもなるやつをそこに留めるには無理があるってもんだろ?村での生活が嫌だったとかそういうんじゃねーよ?外の世界てのに俺の好奇心が、そそられただけだ。
いつかは村から出て、一人で旅かなんかして、でもまたここに戻るもんだと、ただ漠然とそういうふうに俺は思ってたんだよ。だけどそれは見事に裏切られたな。俺の旅立ちはとんでもねー形で実現しちまって、帰るとこもなくなっちまった。おまけに勇者ときたもんだ。なんだよそれ、なんにも聞いてねーっつの!しかも父さんも母さんも俺の本当の親じゃねぇとか、村自体が俺のためだけに作られたもんだったとか、ちょっと色々ありすぎだろがよ!!三文芝居そのものじゃん!!
いやー、俺よくグレなかったよな。そこ、褒めてほしいわ。まぁ、生きる気力はちょっとばっか失くした時期はあったけどさ、俺ばっかりが世の中の不幸全部背負って生きてるわけじゃない、って気がつけたんだから、あの樵のじーさんには感謝しなくちゃな。それに俺が勇者とやらをリタイアして、また同じような運命を背負わされるやつが出てきちゃったら後味わりーし。ま、これは単なる俺の勘なんだけどもよぉ。とりあえず、今のとこ該当が俺しかいないってんなら、これは尚更やるっきゃねーよな。
そんでもってとにかく生きてやるよ。それが父さん達との約束だから。生きるからには楽しく笑うさ。それが願いだと信じてるから。だって俺ってやっぱし泣くよりかは、笑ってるほうが好きなんだ。そんな俺が好きだって、多分あいつらも言ってくれるだろうから。そうして本当に最後には、ああ良い人生だったーとか言っちゃう予定だぜ!ベタで恥ずかしけどなっ。
頑張るよ。なぁ、だからどっかで見ててくれ。そうしていつかまたどこかで会える日を俺さ、待ってるからな。
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君を想う、春を思う様よりお題をお借りしました
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